日航副操縦士飲酒問題~働く意義の再考

新年あけましておめでとうございます。このところサボっていて投稿があいてしまいましたが、本年もよろしくお願いいたします。

日航副操縦士の飲酒事件が起きたのは2018年10月28日 ロンドン発羽田行きJAL44便。クルーを機内へ運ぶバスには13名のクルーが乗車していたが、バスの運転手が副操縦士のアルコール臭に気づき保安官に報告。機内へ駆け付けた保安官に対し副操縦士は「アルコールは飲んでいない。マウスウオッシュによるものだ」と大声で叫びトイレに駆け込んだが、保安官もアルコール臭を確認したため、ロンドン警察に通報し身柄を拘束された。

そして、英国の基準値の9倍のアルコールが検出され、翌29日には禁固10か月の実刑判決が言い渡され、会社からは懲戒解雇の処分を受けた。

この報道のあと、全日空のグループのANAウイングスの機長および日航グループのJAC(日本エア コンミューター)の機長から基準値の超えるアルコールが検知されたという報道だ相次いだ。

ANAウイングスの機長のケースは副操縦士に口裏合わせを依頼し、虚偽の説明をしていたというから何をか言わんやである。

また、フライト中にシャンパンを飲んで接客していた日航の女性客室乗務員も当初は絶対に飲酒していないと強弁していたが、厳しく追及されて事実を話したという。

そして、商船三井客船の大型クルーズ船「にっぽん丸」の船長が、昨年12月末に寄港したグアムの桟橋に衝突する事故を起こし、米当局が調査したところ米国の基準値を超えるアルコールが検知されたという。

いずれの事件も幸い乗客などに怪我はなかったが、これらのニュースを聞いたとき、「まさか!」と空いた口がふさがらなかった。

しかし、河合薫 氏(健康社会学者・気象予報士・元ANAキャビンアテンダント)よれば、「パイロットの飲酒問題は古くて新しい問題。10年くらい前から、日本だけでなく、欧米でもたびたびトラブルが起きていたんです。ただ、各社ともスタンバイ要員がいたから、表立った問題にならなかっただけです」という。

そして、航空会社は路線の拡大と生産性の向上を目的に便数を増やしたり、月間乗務時間を延長したりして基準を変更をしたため、パイロットの疲労は以前に比較して蓄積されている。米国ですでに導入されている操縦士の「疲労リスク管理」が日本の航空会社にも必要と訴えている。

パイロットの仕事は神経をすり減らす仕事であることは誰もが承知である。特に航空機事故の70%は離着陸の時に発生するといわれており、その時の緊張感はわれわれ素人には想像しがたいもので あるかもしれない。

しかし、民間航空のパイロットという職業は、憧れの職業でもあり、大勢の乗客を安全に迅速に運ぶ公共交通機関の一翼を担う大切な仕事であり、自己管理の厳しい職業であることも分かっているはずである。

このような事件が続発する原因は、航空会社が性善説に基づいてアルコールのチェックが甘かったために起きたという意見もあるが、それよりも前回のコラムでも取り上げたが、人が「働くという根本的な意義」に無関心というより、お金を稼ぐことを優先する考えがあるために起こるのである。

繰り返すが、天台宗の開祖 伝教大師最澄の言葉に 「一隅を照らす、此れ則ち国宝なり」がある。いかなる仕事も他人のため社会のために役立っている。そして、各々が与えられているその場その場で最善を尽くすことが「国の宝(たから)」となるという意味である。

私は天台宗の宗徒ではないが、皆さんが、この最澄の言葉 「一隅を照らす、此れ則ち国宝なり」を 真摯に受け止めて働いていただきたいと念願している。。そうすれば、様々な企業で続発している不祥事も起きなくなるはずである。「働き方改革」を云々する前に皆が「何のために働くのか?」という基本の基に立ち返ることのほうが先決である。

2019年(平成31年)1月14日(成人の日)
株式会社JAPAN・SIQ協会 代表取締役 金子 順一