私の思っている「当たり前」は過去のもの?

最近、サービス接遇のお手本といわれていたホテル業界においてもサービスの低下が目立つようになりました。そして、それがホテル業界だけでなく日本のサービス産業全般にも及んでいるように見受けられます。

先般、一流企業と世間では思われている3社で、私がお客の立場でサービスを受ける機会があり、その実情を経験しましたので、一部をご紹介したいと思います。

これら3社とは、M信託銀行、Jクレジットカード会社、I外資系ホテルです。 
M信託銀行の場合は、カウンターで振替用紙による口座の振込み手続きをした際の応対。
Jクレジットカード会社の場合は、貸与されているカードの磁気テープが弱くなり、お店のCAT端末が受け付けなくなったので、再発行をお願いしたときの受付窓口の電話応対です。
I外資系ホテルの場合はあまりにもお粗末な応対でしたし、詳細をお話しすると長くなりますので省かせていただきます。

まず、これら3社に共通していることは、

1. 担当窓口のスタッフはマニュアル以外の対応は、まったくと言ってよいほどできない
2. その企業の方針かどうか分りませんが、現場では顧客の視点で仕事をしていない 
3. 自分たちの仕事の役割というか使命というか、仕事の本質を理解していないと感ぜられました。

3社いずれの場合も、上司の責任者に苦情を申し立てましたが、3社のなかでM信託銀行だけは、責任者(アラフォーの女性)が、自分の指導・教育が至らぬためご迷惑をおかけしましたと謝罪し、応対した窓口の女性スタッフもお客さまに指摘されるまで漫然と働いていました。

これからはしっかりと勉強し仕事に励みますと謝ってくれました。カウンター窓口における対面応対だったためかも知れませんが、素直にきちんと謝罪してくれました。

しかし、Jクレジットカード会社の上司(入社6年の女性)も、I外資系ホテルの上司(女性)も、電話対応のためか、自分が可愛いのか、自己保身のためか分かりませんが、本人は言い訳とは思ってもいないのでしょうが、言い訳をするのです。素直でないのです。

Jクレジットカード会社の場合 「応対した者が新人でしたので、大変ご迷惑をおかけし申し訳ございませんでした」と言うだけの謝罪の言葉でしたので、私は頭にきて大人げなく語気を強めて「そんな謝り方はないだろう」と言ったところ、その上司は、自分はキチンと謝っているのになぜ怒られなくてはならないのだろうかという様子でした。

私が、「あなたはこの職場の責任者ですよね」と確認し、「新人だろうがベテランであろうが、お客さまと応対しているときは、会社を代表して応対しているのだということを窓口のスタッフに徹底していますか?そして迷惑をかけた新人を指導・教育するのがあなたの仕事、責任ではないのでしょうか。その原因を新人が対応したためだけと言い訳するのは、自分の責任を他者に転嫁していることと同じではないのでしょうか?」と指摘したところ、はじめて私が怒った理由を理解し、「このようなご指摘を受けたのはお客さまが初めてです。お客さまのおっしゃる通りだいうことがいま分かりました」という答えでしたが、どうも本音のようでした。

このあと、現場の責任者の上司である次長とメールでやり取りをしましたが、こちらもいただいたメールの文章自体はキチンとしているのですが、発信者として「Jクレジットカード会社 カード発券部」とだけしか記載していないのです。

これは典型的なお役所仕事のやり方で、書面に書かれている内容について自分個人としては責任を取りたくないので、役職名も名前も記載しないのです。いわゆる逃げ道を作っておくための手法です。

これに対しても、あなたの会社はお役所仕事の真似をしているのかと抗議をしたところ、はじめてカード発券部 次長 ○○○○と記名してメールのやり取りできるようになった次第です。お陰さまで、一流会社と言われている会社の「上が上なら下も下である」という典型を拝見させていただきました。

しかし、私が先ほど指摘したことは、仕事をする上で私にとっては当たり前のことと考えていましたが、現在では「私の考える当り前は古い考え方」になってしまっているのかと自問自答もしています。

一方、このままでは日本人の美徳であるホスピタリティの精神、すなわち他人を思いやるという文化が消え去っていくのではと心配です。喜寿を過ぎたシニアが小言幸兵衛の役を続けていかなければ、欧米型の自己保身のための言い訳をしたり、会社の都合やマニュアルをお客様に押し付けたりする現場担当者の企業が増えてくるのかと思うと、空恐ろしい気持ちになってしまいます。

2013年12月1日  株式会社JAPAN・SIQ協会 代表取締役 金子 順一